楽器と音色

このあいだヒトミちゃんの代官山のライブの時に、某サックス奏者の人が来ていてライブの後に話したりして、その時にやはり同業者だし、音色の事、楽器の事、マウスピースやリードの事なんかに成るのですが、テナーの音が前よりも太くて凄く良い感じと言われました!! 実はSMLってメーカーで・・・。みたいな説明をしたら、きっとコレに出会えたのは運命だから絶対に手放さない方が良いよ!!とまで。


僕は楽器やマウスピースをコロコロ変える人で、マウスピースなんて5分くらいしか使わずにお蔵入りとか・・・。楽器も数日しか吹かずにお蔵入りとか・・・。そんな事も有るのです。ココ数年はセルマーのビンテージをメインで使っていたのですが、ちょっと前にフランスのSMLのビンテージに完全に切り替えました。


ビンテージの楽器はどうしても修理して本体にダメージが有ったり、キーアクションにガタが来ていたり、と色々有って中々良い物が手に入らないのです・・・。多少の凹み直しとかは良いのですが、大きな事故にあっていたりして大きなダメージや凹み直しが有ると、音は良いけど特定の音域に鳴りのデットポイントが有ったり、こんな良い音なのに・・・みたいな惜しい楽器が多いのです。


実際僕の持っていたビンテージ楽器もそう言う部分が有る物ばかりでしたから、それが普通だと思っていたので違和感無くずっと使っていました。ですが、最近使っているSMLのテナーは1958年製でかなり古いけど大切に使われていたみたいでダメージは殆ど無くパーフェクトな状態!! とにかく今まで気になったデットポイントがなく、息が素直に音に成って楽器が振動しているのが瞬時に判るような楽器で、指先に伝わってくるバイブレーションが全然違う。 でも最初のうちは、むしろ鳴り過ぎの軽い楽器だなーと思っていたのですが、最近楽器に歩み寄ってきたみたいでとても自然な状態に成ってきている気がします。 今までは無意識のうちに楽器の癖や鳴りムラを何とかしようと、力んで吹く癖が有ったみたいなんですが、その吹き方のままSMLを吹いても全然本領を発揮していなくて、でもいつのまにか僕が楽器に歩み寄って力が抜けてきたみたいで、どんどん色んな音が出るようになってきました。もしかすると僕の息の量とか呼吸の仕方に丁度良い具合なのかも知れません? 音色が良いと出てくるフレーズも全然違ってくるし、アイデアがドンドン広がる感じがします。


ビンテージの良いセルマーは150万とかする時代だし、あえて誰も知らないサックスを使っているっていう部分も有るのですが・・・、そんなの抜きにしてコレは良い楽器なんだなーと思っています。 SMLの50年代の楽器なんて日本に殆ど無いだろうし比べる事も出来ないし・・・、全部が良いのか僕のがたまたまアタリなのかは良くわかりませんが・・・。(もしかしたら他のはもっと凄いとか?!)
楽器に色々教えてもらって言うような気分で日々演奏したり、練習したりしています。